医療法人に携わる税理士と行政書士のあるべき姿

先日知り合った士業の方が、SNSで、

「税理士が税務だけを知っていれば良い、行政書士が行政手続だけを知っていれば良い、そんな時代は終わり、総合的にサポートできる知識が必要」

ということを述べていました。

私がその文意に沿った解釈をしているかどうかは別として、大変共感できるコメントでした。

医療法人に携わる税理士と行政書士の、それぞれの立ち位置について考察しました。

(前置きとして、私は税理士と行政書士の双方の資格を保有しています。)

医療機関に関わる士業とその立場

医療法人であれば、都道府県等への事業報告書や登記事項届などの提出があるので、税理士、行政書士、司法書士の関与は必須です。

社会保険労務士もほぼ必須であり、稀に弁護士の出番があるというイメージです。

医療法人は税法と医療法の双方を考慮しつつの経営となるため、税理士と行政書士の関わり合いは蜜月であるべきです。

但し、税法第一の税理士と、医療法第一の行政書士の間で、立場の違いによる齟齬が生ずるケースもしばしばあることでしょう。

某有名漫画で「正義は立場によって形を変える」という名言?があります。

その言葉通りで、それぞれの士業にそれぞれの言い分があるため、互いの主義主張により見解が異なることがあり得ます。

士業同士で意思疎通を心掛けるのが一番

医療法人の事業報告書のチェックが厳しくなっています。

(精査対象か否か不明ですが、令和5年8月以降は経営状況報告が義務化となります。)

また、定款変更の際は直近期の内訳書は精査されます。

そこで医療法違反が見つかれば、スムーズな許認可申請に支障が出ます。

ゆえに税理士には、将来的な行政手続等を見据えた経理及び申告書の作成が求められます。

結果的に顧問先とは、税務のみならず行政手続も視野に入れた情報共有が必要となります。

ゆえに、税理士であっても医療法をきちんと勉強し、行政手続のことを学ぶ姿勢が重要です。

税理士が税務だけを知っていればいいという問題ではありません。

行政書士も同様です。

医療法人化は進め方により、納税額が大幅に変わるケースがあります。

税金のことは門外漢だからと、手続だけ進めればいいものではないと思います。

また定款変更の際なども、申告書を見てあからさまに税理士の非難をするのではなく、税理士と顧問先の関係をまず尊重し、円滑な手続きに向けどのように方針を練っていくかを考える柔軟さを持つことが大事と思います。

ある程度規模の大きな医療機関であれば、税理士と行政書士双方と顧問契約を結んでいるところも多いと思います。

その場合は、士業同士の意思疎通が必要となってくるので、上手に連携することが重要です。

あくまで尊重すべきはお客様の意思

士業でありがちなのが、自らの考えをお客様に半ば強要するような形で訴えることです。

最終的な経営判断はお客様が行うべきであり、そこに良かれと思って邪な横槍を入れるのは士業としてあるべき姿ではありません。

但し、お客様の意思だからとはいえ、士業が何でもかんでも従うのも間違いです。

私も一定のデッドラインは設けており、お客様が悪辣な手段で税を免れようとするのであれば手を切るようにしています。

そんなところに精神を擦り減らすのであれば、真面目に経営しているお客様のことを考える方がよほど有意義です。

「説明はするが、説得はしない」という方針を貫く方が良いです。

デッドラインは、税理士であれば看過できない脱税行為、

行政書士であれば度を越えた医療法違反というところになると思います。

まとめ

医療法人に携わる税理士と行政書士のそれぞれの立場を考察しました。

医療法人を顧問に持つのであれば、税理士・行政書士双方の立場で、税法と医療法等を総合的に学んでいく姿勢が大切と思います。

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