相続税申告の土地評価に当たり、役所調査で確認すべきこと

相続税申告で土地の評価をするに当たり、現地調査と役所調査は基本的に必須です。

そのうち、役所調査で行うべきことは調べる土地の状況により様々ですが、大別すると下記となります。

・建築基準法による影響があるか

・都市計画法による影響があるか

・その他の疑問点解消

上記について説明します。

建築基準法による影響の有無を調べる

まずはその土地に接道している道路が、建築基準法上の道路に該当するかを確かめるのが大切です。

役所には必ず道路台帳が備え付けられているので、コピーを頂くようにしましょう。

現地調査で、明らかに幅員が4m未満の道路を調べるのは当然ですが、4m以上であっても道路が建築基準法上の道路とは限らないので、接道している道路は全て調べる必要があります。

路線価が付されているか否かも関係ありません。

仮に、接道している道路が建築基準法上の道路に該当しない場合は、無道路地評価となる可能性があり、その場合は評価額が大幅に変わることになります。

建築基準法上の道路に該当することが確認できた場合は、掘り下げて道路の種類を調べます。

道路が位置指定道路や42条2項道路に該当していれば、評価減要素となり得ることになります。

仮に幅員が4m未満であり、かつ42条2項道路に該当する道路である場合、セットバックによる減額を視野に入れます。

その場合、道路を挟んだ対面の土地が既にセットバック済のこともあるので、道路の協議書の図面などが役所に保管されている可能性があります。

大切なことは、調査に調査を重ね、評価減の手掛かりとなる可能性があるのであれば、できるだけ多くの資料を手に入れることです。

その後、既に手元にある資料や現地調査で撮影した写真等を、新たに手に入れた道路台帳や協議書図面と照合するなどの確認作業を行い、全貌の把握に努めていくことになります。

都市計画法による影響の有無を調べる

管轄区域の都市計画図を入手することが大切です。

都市計画道路予定地や容積率のチェック、用途地域や生産緑地の確認など色々と把握することが出来ます。

いずれも建物を建築するのに制限があるため、減額要素に繋がることになります。

容積率や用途地域などは、地積規模の大きな土地など、他の減額要素の要件確認でも使用するので、都市計画図は必ず入手しておくようにしましょう。

役所によっては、都市計画図などはインターネットで公開しているところもあります。

まずはホームページで閲覧できるものは、事前に入手して把握していく方が良いです。

その他疑問点の解消

以前、土地評価を行う際に、固定資産税明細の記載に疑義があり、役所で照会をお願いしたことがあります。

減価要素に繋がりそうな点、若しくはそれに準ずるような項目で疑問に思う点は、解消するまで役所調査を継続することが必要です。

古い資料などは、役所に保管されていないこともありますが、その手掛かりになるような資料でも、重要な論点となり得ます。

繰り返しとなりますが、少しでも減額要素となる可能性があるのであれば、徹底的に調査するようにしましょう。

ちなみに役所へ行く際は、事前に下調べを行うが良いです。

道路の照会を行う場合等も、図面や写真を準備しておき、調査すべき事項をピックアップしておけば、役所の方もすぐに対応できるので、無駄に時間を費消することもありません。

そのため役所調査に行く前は、必ず入念な机上調査と現地調査を行う方が、より効率的です。

役所の方も忙しい中対応して下さる訳なので、その点の配慮は必要と思います。

まとめ

現地調査と役所調査を行う税理士は、少数派と言われています。

それでも土地の評価減に繋がる可能性があるのであれば、行うのは必然となります。

双方の調査は、税理士であれば当然行うものと自覚することが大切と思います。

error: Content is protected !!