うるさ型と呼ばれる士業の振舞について

先日、とあるセミナーで著名な先生が、「士業はうるさ型でなければならない」というニュアンスのことを発信していました。

ベテランで人当たりも良い人格者の先生ですが、そのような先生でも自身をうるさ型と表現することに、士業の立場の辛さを感じます。

うるさ型と呼ばれる士業の振舞について考えました。

確定申告の際の税理士の振舞

今年、私が受け持つ確定申告の終わりが見えてきました。

確定申告時期は確かに忙しいですが、基本的に資料さえ揃っていれば終わるものです。

逆に資料が一つでも欠けていると終わりません。

受け持つ顧問先数にもよりますが、どれだけ前もって準備できているかが肝となります。

お客様には資料の催促をするわけですが、あまり露骨にかつ頻繁だとお客様から顰蹙を買うことになります。

日常実務がある方にとって、確定申告ほど煩わしいものはないはずで、それを生業にしている税理士からの催促も同様のはずです。

ゆえに、税理士にとっては日頃からお客様と上手にコミュニケーションを取るようにし、可能な限りスムーズに資料を提供して頂くことが、重要なカギとなります。

ふるさと納税や医療費の領収書等は確定申告間際に預るのではなく、届いた都度、月次資料とともに預ることが可能です。

日頃から管理していれば、確定申告時期に慌てて集計しなくても良いわけです。

逆に何度催促しても無反応で、毎年当然の如く期限ギリギリに資料を送ってくるようなお客様とは、そもそも付き合ってはいけないのです。 こちらがストレスで疲弊するだけなので、独立後はそういった判断力も重要です。

日常経理における税理士の振舞

何が何でも税金を支払うことを忌避する方がいます。

誰しも税金を払うのは嫌なものですが、明らかな家事関連費を屁理屈と自己解釈で経費算入することは許されません。

私の顧問先にはいませんが、家族で食事をしただけの領収書や、趣味で買ったものの領収書等を平然と出してくる方もいると思います。

「これはダメです。認められません。」と突っぱねてもいいですが、

「そういう領収書を経費に入れると、後々こういう事態になりますよ。」とリスクから説明して、顧問先に雄弁していくのが常道になります。

その後に顧問先がどういう判断をするかで、顧問契約を継続するか否かを考える形となろうかと思います。

金融機関や保険会社、人材紹介会社などが勧める商品についてのアドバイスも必要です。

節税と題して、リスクの大きな商品を紹介したり、資金繰り度外視の商品を勧めたりする営業の方が少なからずいます。

営業マンは基本的に弁が立つ方が多いので、人の良い先生だと話に乗ってしまいがちです。

そういうケースは一人で考えず、周りに相談することを勧めます。

その際、顧問契約を頂いている税理士が、どれだけうるさ型になれるかが大事かと思います。

診療所経営における士業の振舞

診療所はまず許認可が全てです。

許認可が受けられなければ診療できません。

ゆえに許認可要件に反するような行為がある場合は、必ず説明して理解を促さなければなりません。

ここは士業が完全にうるさ型になる必要があります。

真の許認可専門の行政書士が、どれだけ神経を遣って業務を行っているかを聞くと身震いすることがあります。

経営も軌道に乗り、資金繰りも問題ないような診療所のドクターは、人柄も含めて一流であり、節税節税と逐一税金の話に首を突っ込むようなことはしません。

そういうドクターは目先の税金対策を考える前に、本来業務である診療に係る医療法、医師法、療養担当規則など、診療所経営に関する法律に精通していくものです。

綺麗事かもしれませんが、医師は診療、税理士は税務、社会保険労務士は労基法、行政書士は行政手続法、医療法などは全士業同一で、それぞれが互いの専門分野で専門家たる手腕を発揮し、上手に連携して初めて互いの信頼関係が生まれると思います。

まとめ

士業はうるさ型と思われがちですが、畑違いの分野に対し違法なことに首を突っ込もうとする方を抑えるためには、その分野の専門家たる士業がうるさ型でなければ務まらないと思います。

その垣根を越えて手を出すのであれば、そもそもそういう方とは付き合ってはならないのです。

診療所(特に医療法人)は制限の塊のような一面があることを考えると、診療所に纏わる関係者との距離感や見極めも、士業にとって大切な仕事です。

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