不動産を引き継がない相続人が、相続後に確定申告をしなければならないケース

相続開始後、被相続人が収益不動産を所有していて、それを相続人が引き継いだ場合、基本的に推定相続人は所得税の確定申告をしなければなりません。

その他、相続後に引き継いだ不動産を譲渡した場合等も、当然所得税の確定申告は必要となります。

収益不動産を取得したり、不動産を譲渡したような場合は、通常、所得税確定申告まで頭が回ります。

ただ、それ以外の財産を取得した場合でも、確定申告を行わなければならないケースは意外とあります。

普段確定申告をしていないような相続人が、確定申告すべき立場となるので、失念しないよう注意が必要です。

生命保険金を受け取った場合

上記の図のように、相続が発生したことに起因して生命保険金を受け取った場合、保険料負担者が誰かによって税の種類が異なります。

 被保険者が被相続人の場合で、保険料負担者と保険金受取人が相続人の場合、相続人たる保険金受取人が受け取った保険金は所得に該当し、確定申告が必要となります。

 一時金として受け取る場合は一時所得、年金払いの場合は雑所得となります。

その他の財産を取得した場合

本来であれば被相続人が受け取るべきもので、相続があったことにより、相続人に支払われる金額があります。

相続財産になるものもあれば、相続人の所得になるものもあるので、その分別に注意が必要です。

未支給年金

未支給年金は色々と種類がありますが、相続財産にはなりません。

ケースとして多いのは、被相続人が年金受給者で、その死亡により相続人が請求して支給される年金です。

この場合の未支給年金は、相続人の一時所得となります。

準確定申告の還付加算金

準確定申告の還付金は相続財産となりますが、その還付加算金は相続人の雑所得となります。

収益不動産を有していて、毎年確定申告をしているような場合、準確定申告による還付金額も多額で、還付加算金があることも多いので、漏れの無いよう注意が必要です。

 ちなみに、被相続人が確定申告(還付申告)をした後に亡くなって、その後に入金される還付金に還付加算金が付されている場合は、その還付加算金は相続財産となります。

財産を譲渡した場合

相続税納付資金ために、相続で引き継いだ財産を譲渡するケースがあります。

主に上場株がケースとして多いですが、当然譲渡所得に該当するため、確定申告が必要となります。

相続税納付をしている場合、要件を満たせば、上場株でも取得費加算特例が受けられます。

仮に一般口座で管理している場合、譲渡益を算出するのに時間を要することが多いので、早めに準備することを勧めます。

まとめ

相続発生時に、相続人が既に年金受給者であることは多いです。

年金受給額が400万円以下である場合で、それ以外の所得が20万円を超えていれば、確定申告しなければなりません。

ゆえに、相続人の確定申告義務をまず確認する必要があります。

また実務上で、相続税申告を行って終わりというケースが散見されます。(特に相続専門を謳う税理士)

相続税申告を受け持った税理士は、相続税申告だけでなく、相続人の確定申告までケアすることが求められると思います。

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