個人開業医の小規模企業共済加入は、メリットも多いが注意点もある

個人開業医は小規模企業共済に加入する方が、多くのメリットを享受できます。

税金面でも、将来保障の観点からも有利に働くことが多いためです。

ただし、注意すべきこともあるので、事前に確認を行うことを勧めます。

個人開業医は加入する方が良い

個人開業医については、個人診療所を続けるか、いずれ医療法人化するか、概ね二択です。

いずれのケースであっても、基本的に小規模企業共済は得になります。

・医療法人化して個人診療所を廃止するケース

 …非営利法人の役員は加入不可のため、小規模企業共済は継続できない。

  ただ個人事業廃業の場合は、基本元本割れしない。

  それまでに支払った掛金が所得控除となり、税金面で有利。

・医療法人化せず個人診療所を継続し、いずれ任意解約するケース

 …20年以上支払い続ければ、元本割れしない。

  ゆえに個人診療所を20年続けていれば、元本は取り戻すことができる。

  上記同様、それまでの掛金が所得控除となり税金面で有利。

  65歳以上かつ180か月以上掛金払込をしていれば老齢給付受取可能。

加入するのは早い方がいい

個人開業医の場合の加入資格は下記です。

商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員

常時使用の従業員数5人以下という縛りがあるため、開業後軌道に乗って常勤の数が増え、その数が5人を超えると加入できなくなります。

ゆえに、加入するのであれば早めに加入する方が良いです。

ただし、常時使用の従業員数5人以下という要件は、あくまで加入時の要件です。

加入後に当該従業員数が増えて5人を超えたとしても、継続して加入し続けることが可能です。

加入時の資格には特に注意する

個人診療所の開設者が、医療法人化してその医療法人の役員となった場合、以後小規模企業共済には加入できません。

ゆえに、新たに医療法人の役員となった方が、その後に個人で不動産賃貸業を開始したとしても、小規模企業共済には加入できません。

また、もともと他の医療法人の役員の地位にあった方が、仮に個人で事業を始めたとしても、加入の際の審査を通らない可能性があるので、この点は注意が必要です。

ただ、自らが開設する個人診療所で小規模企業共済に加入していて、その後に別の医療法人の役員になった場合は、契約を継続することが可能です。

大事なのは、加入時の要件です。

加入後に何年かすると、「小規模企業共済に関する加入時における資格要件の再確認ご協力のお願い」といった、お尋ねのような葉書が届くことがあります。(但し、提出は任意)

加入時に審査があるにも関わらず、改めてこの葉書が届くと、戸惑う方は多いと思います。

内容を改めて確認し、加入時の資格要件を満たしていないことが判明すると、遡って解約扱いとなります。

小規模企業共済のHP内の説明では下記のような記載があります。

結果として加入資格を有しない方であったことが確認できた場合は、契約が成立していなかったとの取扱いをさせていただき、掛金を全額ご返還いたします。

返還された金額について、すでに所得控除を受けている場合は修正申告が必要となります。

掛金全額返還は良いとしても、個人開業医にとって過年度の修正申告となると、附帯税を含めてかなりの負担になるはずです。

加入時の資格は特に注意しなければなりません。

まとめ

小規模企業共済は有利な面が非常に多いです。

病気など何らかの理由で廃業せざるを得なかったときの保障にもなります。

ただ、要件を満たさずに加入してしまった場合、後に重大な事態になる可能性もあります。

加入時の資格要件を正確に確認し、加入するなら早めの検討を行うことが好ましいです。

error: Content is protected !!