税理士が独立後にコミュニティに属することはよくあります。
私も現時点で複数のコミュニティに属していますが、その距離感について考えました。
コミュニティの選択を間違えない
税理士が独立して多くの顧問先を獲得し、多くの従業員を抱えたいという野望があるなら、人脈を広げていく必要性はあります。
そういう方はコミュニティに積極的に参加して、多くの人に出会い、顧問先の紹介を受けていくのが一番王道と思います。
私も独立当初は、様々なコミュニティや交流会に参加して名刺交換に精を出していました。
開業仕立てで暇だったことが一番の理由ですが、そうやって人脈を広げるのがまずやるべきことであると妙な思い込みをしていたからです。
今考えれば無駄な時間やお金の費消でしたが、反面材料としてよい経験ではありました。
(少なからず、良い出会いもありましたが。)
一人税理士事務所で経営を行っていくのであれば、やたらめったら名刺を配るのではなく、何らか自分の強みをアピールし、その中で相性が良い人と重点的に付き合いを深めていく方が効率的ではあります。
独立すれば、様々なコミュニティへの招待があるので、その中で自分にとって有用と感じる場所を探すのが良いかもしれません。
自分なりの距離感を確保する
私は現時点で複数のコミュニティに属していますが、その距離感は一定程度保つようにしています。
人によりその深度は様々でしょうが、自分なりの距離感を維持するようにはしています。
先日も一つのコミュニティの、とある会に参加させて頂きました。
参加者の中に知り合いになっておきたい方が何名かいたためです。
事前に下調べをしていたので、その方々の人柄もおおよそ察しはついていましたが、実際にお会いして、私のような端者に敬意を持って接して頂き、単純ながら感銘を受けました。
ただ、私は組織に向かない人間であることは自認しており、自分を押し殺してうまく立ち回れるほどの器用さはないので、各コミュニティへの参加は最小限に留めています。
そこで無理に人脈を広げようとは考えておらず、まして新規顧問先を獲得しようという考えもさらさらありません。
コミュニティに属する理由はあくまで下記です。
・新たな情報の収集のため
・顧問先に紹介できる方の開拓
税理士は顧問契約がメインのため、現在顧問をして頂いているお客様に、常に有用かつ最新の情報を伝えることを第一に考えねばなりません。
コミュニティに属する一番の理由は、新たな情報収集が基本となります。
顧問先からの依頼で、税務業務以外に関わることもあるので、その際に紹介できる方とできるだけ懇意になりたいということもあります。
コミュニティを主宰する方も、人数が多くなればその運営も相当な負担と思います。
ただでさえ士業など曲者揃いの集まりなのに、それを束ねる長というのは、余程の実績や魅力、威厳が無ければ務まりません。
敬意を表しつつ、その中で私なりに接しさせて頂ければと考えています。
独立の目的を見失わない
仮に税理士法人で勤務していると、従業員が何十人、何百人といることがありますが、全ての人と相性が良い筈がありません。
ただ同じ職場で働く以上、少なからず歩調を合わせなければなりません。
顧問先も同様です。
勤務していた際は、各従業員に顧問先が割り振られます。
20~30件の顧問先を、上からの指示で割り振られて全ての顧問先と相性が良いはずがないのも事実です。
ただ、上から割り振られた以上、露骨に拒否することなどできません。
税理士が独立する目的の一つは、良くも悪くも自由であることでしょう。
一人税理士は、組織のしがらみに辟易して独立した方も多いと思います。
コミュニティの人数が多い場合、その中の方全てと相性が良いとは思えません。
その中でも相性が良い方とだけ懇意にさせて頂ければ、私はそれで充分です。
実際、私のような考えの方も相当数存在すると思います。
独立した今、顧問させて頂くお客様も同様です。
現在の顧問先様で、厭うように感じる先はありません。(当然ですが。)
コミュニティと深く接したい気持ちもありますが、誰かしらと関係性が悪くなれば居づらくなり、人によってはそれが原因でトラウマになることすらあります。
コミュニティがしがらみに化けてしまうと、何のために独立したのか分からなくなります。
長く属していたいコミュニティでは、それは避けたいところです。
まとめ
小中学生のような年若は、素直が故に残酷な一面があります。
逆に社会の場でコミュニティに属する方は、自分を含めて、大抵は奥ゆかしさとともに仮面を被ります。
独立したのであれば、その見極めにまで心身を消耗するのは避けたいものです。
個人的な意見となりますが、コミュニティに深く依存しすぎるのは危険と思います。
そのコミュニティの思考が全て正しいと思い込む危険性があるためです。
それでは勤務税理士が税理士事務所という組織に染まるのと同じで、独立の意義が見い出せなくなります。
関わりつつも一定の距離感を保つ。
一人で運営している税理士は、それ位が丁度良いと思います。